6月28日発売
DAYS JAPAN8月増刊号
「福島・被曝安全神話のワナ
放射能を気にしなければ幸せになれるのか」
福島原発事故から7年。福島では、「風評被害だ」「不安をあおるな」「福島を差別するな」といった言葉のもと、甲状腺検査の縮小や自主避難の人々の切り捨て、住民の分断が進む。
この大きな力は何なのか。本著では、不安を口にしたり、避難を続けたりしていることに対しても批判が巻き起こる今の状況への強い危機感のもと、そういった言葉の裏にある「実害隠し」を明らかにし、被災者救済を進めていくことを目的にした。
さらには、日本で起きうる次なる原発事故にどう対処するのか、子どもたちにどのような未来を残すのか。今だからこそ一人一人が再確認したいことに向き合うための本。
元京大原子炉実験所助教の小出裕章さん初め、福島原発事故以降さまざまな分野で救援活動や取材などを続けている著者らによる渾身の一冊。
第1章 母と子のチェルノブイリ
福島の母子3組が2017年夏ベラルーシへの訪問をレポート。出会えたのは、子どもの時にチェルノブイリ事故で被曝し、甲状腺がんの手術をし、大人になって母になった人々。彼女たちの人生は福島の母子に何を伝えたか。
私たちが学んだこと―ベラルーシを訪れて
ベラルーシへの旅
ベラルーシで出会えたのは30年後の強く優しい私
母たちの深い悩みを世界はどう受け止めたのか
第2章 福島「原発安全神話」から「被爆安全神話」へ
小出裕章氏(元京都大学原子炉実験所助教)による講演を収録・加筆。専門家の目には福島の今、そして被爆した人々の将来はどう映っているのか。
第3章 福島差別と風評被害の本当の姿
これまでの安全と危険の常識が音を立てて崩れゆく原発事故後の福島。住民の分断が進み、復興に拍車がかかる。私たちは何を守るべきか。
1・復興と差別
支援打ち切りに苦しむ見えない被害者たち 青木美希(朝日新聞記者)
「子どもを守ること」と「風評被害」―「語りにくさの」根底にあるもの 吉田千亜(フリーライター)
2・放射能測定からわかること
測定と診療の日々から思うこと 鈴木薫(いわき放射能市民測定室 たらちね事務局長)
福島の食に何が起きていたか―作られた生産者と消費者の分断 阿部浩美(ふくしま30年プロジェクト副理事長)
3・甲状腺がんという「不都合な真実」
「軽いがん」なんて言わないで―甲状腺がんの子をもつ親の思い 白石草(OurPlanet-TV代表)
「県民健康調査」は誰を守るのか―県民に知らされない「60ミリ」の甲状腺がん 和田真(フリージャーナリスト)
福島県における甲状腺がん多発と放射線安全論 崎山比早子(元国会事故調査委員会委員)
4・安全論者からの攻撃をはね返す
開沼博氏への公開質問状 明石昇二郎(ルポライター)
福島民友新聞による風評被害攻撃 東原晃一郎(グリーンコープ共同体常務理事)
政府・メディアによる事故収束かのような印象操作―民間の事故調査ウェブサイト「レベル7」で事実を検証する 木野龍逸(フリーランスライター)
存在する被害をなしとしている学者・文化人の「被爆安全論」を批判する 山田耕作(京都大学名誉教授)
過去をなかったことにすると、未来を失う―『しあわせになるための「福島差別」論』を読んで 広河隆一(DAYS JAPAN発行人)
定価2160円(税込)
B5判 196ページ フルカラー