【安定ヨウ素剤の事前配布の要望書】

 

関係各省庁、各電力会社、

原発立地自治体及び周辺の自治体 殿

 

2017年5月22日

「ヨウ素剤の事前配布を求める会」

東京都世田谷区松原 1‐37‐19‐402 DAYS救援アクション気付

 電話 03‐5376‐7898  FAX 03‐3322‐0353

 

 原発立地県及びその近隣県の住民を中心とする多くの団体は、これまで安定ヨウ素剤の事前配布を求める要望書を提出し続けてきました。それに対して関係各省庁の取り組みは、遅々として進んでいません。しかし現在日本列島は、いつ大地震が起ってもおかしくない状況にあり、福島第一原発事故に続く原発大震災が起こる危険は迫っています。またアジア情勢の深刻化により、原発が攻撃のターゲットになることも、あながち空想の物語ではなくなっています。

こうした原発事故の危険が迫っている中で、ヨウ素剤の事前配布の早急な取り組みの必要性がいよいよ喫緊の課題であると考え、私たち「ヨウ素剤の事前配布を求める会」は、以下のような要望書を提出するに至りました。



1 私たちは、ヨウ素剤は、国が承認したものを、医師が処方箋を書いて薬剤師が調剤し、さらに人々の手に渡るときには、副作用、服用時期を含む必要なインフォメーションをきちんと伝えることによって、安全性が確保されるということを理解しております。

 

2 そして同時に、安定ヨウ素剤が必要とされる事態が起こった時に、直ちに人々が服用可能な状態にするためには、必要な薬がきちんと1の過程を経て、必要とされる人々の手に事前配布されていることが絶対に必要であることを確信しております。それは次のような問題があるためです。



 A 原発事故が起こった時には、大混乱であることが容易に想定でき、そうした中でヨウ素剤を求めることに時間を費やされ、そこで不必要な被曝をするよりも逃げることの方が大切だと考える住民が多く出ることが予想されること。

B 十分な説明なしにヨウ素剤が住民に渡された場合、特に母親が子どもに服用させることを躊躇することが予測されること。そのためもっとも放射性物質の影響を受けるといわれる乳幼児が大量に被曝する可能性があること。

C ヨウ素剤の保管場所に至る道路が、地震などによって破断している可能性が高いこと。

D 事故が夜中に発生するなどして、保管場所に辿り着けない状態になる可能性が高いこと。また保管場所の担当係りや医師が、ヨウ素の配布が終わるまでその場所で待ってくれるという保証がないこと。

E 福島原発事故当時、政府、自治体、医師、専門家が小数の例外を除いて、ほとんどヨウ素剤の配布に無力であったばかりか、逆に副作用の危険性を持ち出して、配布を妨害するケースが多くあったという痛い経験から、ヨウ素剤配布の責任ある当該者は、大きく信頼を失ったこと。専門家や自治体、国、電力会社からの指示を待つだけでは、自分たちや子どもの健康は守れないと、多くの住民は確信していること。

(副作用については、福島事故前の政府のヨウ素剤部会で検討され、大きな副作用がないことが確認されています。またチェルノブイリ事故当時にウクライナの隣国ポーランドでは国民へのヨウ素剤投与をおこない、その追跡調査でも後に影響を残すような副作用がなかったことが発表されています。そのため日本医師会の言うように、医療関係者によるヨウ素剤他のアレルギーのチェックをきちんとすれば、問題がないと考えられます)。

F 事前配布であれば、住民のアレルギーについての聞き取りや、服用注意書の説明など、服用についての住民の不安に対してきちんとした時間が取れること。

G そして配布されたヨウ素剤を、必要なときに必要な場所に保持することができる。夜中の事故で、被曝する前に薬を飲むことが、より可能になること。

3 そのため、私たちは次のように求めます。

A 30キロ圏内に限って決められているヨウ素剤の配布は、現在の保管場所での備蓄の方針から、早急に事前配布に切り替えるように求めます。

B 福島第一原発の事故は、現場の人々の働きや多くの幸運により、もっと大きな被害が出る事態を逃れましたが、そうした事態が起こったかもしれない可能性は、政府をはじめ多くの専門家からすでに指摘されています。チェルノブイリ原発事故では、激しい汚染により居住禁止になった村は280キロも離れたところに及び、小児甲状腺がんの多発地域は340キロ離れた州にまで及びました。

また現在の福島県の小児甲状腺がんの最多発地帯は、原発から50−60キロ離れた郡山市、福島市、いわき市と報告されています。

これは30キロ圏までの住民にヨウ素剤を配布するだけでは不十分であることを示しています。そのため、ヨウ素剤配布の地域を現在の30キロ圏よりもさらに拡大させることを求めます。この場合に、乳児用のゼリー状のヨウ素剤も、容易に手に入るようにすることを求めます。

 

 現在では次の大地震、原発の大事故の可能性を疑う人はいません。関係各省庁、各電力会社、原発立地県および近隣県の自治体に対し、住民は、早急に3に書きました項目の実施を求めます。またすでに停止している原発の危険性も、福島原発4号機の爆発の経験から立証されたことを思えば、日本列島全体の住民に安定ヨウ素剤を手に入れる権利があると考えるべきです。

5 これらが実施されるまでの間にも次の原発事故が起こらないとは限りません。一刻も早く国、自治体は事前配布を進めることを求めます。

 6 そしてそれが実施されるまでの間、海外で実施されている人道的配布措置、あるいは緊急避難的措置と同様の措置として、住民が自分たちの手で緊急時に健康を守るために、医師を通して安定ヨウ素剤の事前配布を実施したいと考えます。

 

※ フリーライターの守田敏也様より、以下のご意見を頂きました。※

「私たちは、ヨウ素剤は、国が承認したものを、医師が処方箋を書いて薬剤師が調剤し、さらに人々の手に渡るときには、副作用、服用時期を含む必要なインフォメーションをきちんと伝えることによって、安全性が確保されるということを理解しております。」

問題はヨウ素剤は処方箋がいるのかいらないのかで、原子力規制委員会の田中委員長自らが「劇薬指定されているので、処方箋がいる。勝手に配るな」と言ったことがあることもあって、あちこちで処方箋が必要ともされています。

しかし「平成23年度厚生労働科学研究「薬局及び薬剤師に関する 災害対策マニュアルの策定に関する研究」研究班 報告書」を開いてみますと、以下のような記述があります。

「安定ヨウ素剤は「処方せん医薬品以外の医薬品」に該当するため薬局での販売は可能であるが、原子力災害に備えた各家庭への事前配布について 必ずしも明確にされておらず、 」(p126~127)

http://www.nichiyaku.or.jp/saigai2016/files/sr20160415.pdf

これについては「緊急被ばく医療について検討会(規制委の中村佳代子委員が委員長)」でも言及されたことがあります。

「日本で売られているそのヨウ化カリ丸というお薬は、錠が50mgという量で、そこの中に含まれるヨウ素の量とすると42mgぐらいですかね、になります。

この量は実は、KI(ヨウ化カリウム)というものは劇薬なんですけれども、1錠あたり0.35g以下、350mg以下のものは劇薬指定から外れています。ですから、今日本で市販されている、このヨウ化カリ丸というお薬に関しては医者の処方箋なしで使えるお薬というふうに分類されております。」「この薬は処方箋がなくても使える薬です、日本には零売(ぜろばい)というのがあり、売っていただける」(横山邦彦副委員長、公立松任石川中央病院)

このやりとりが記されているサイトをご紹介しておきます。

http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2012-12-17

僕がこれまで聞いているのは「処方箋」はいらないが「医師の指示」は必要で、それがないと薬局では売ることができないという点です。

ただそれ以上、「指示」というのがどういう法律で規定されているのかまで調べたことがありません。

調べなくてはと思っていますが、ともあれ処方箋が必要とされている「劇薬」ではないことはおさえておいた方が良いと思います。

「ヨウ素剤の事前配布を求める会」

東京都世田谷区松原 1‐37‐19‐402 
DAYS救援アクション気付      
電話 03‐5376‐7898   
ファックス03‐3322‐0353
 世話人:広河隆一(DAYSアクション、DAYS JAPAN発行人)
呼びかけ人:崎山比早子(元国会事故調査員)広瀬隆(作家)/青山浩一(ますみクリニック)、鈴木利廣(弁護士)/黒部信一(医師、未来の福島こども基金)/牛山元美(さがみ生協病院内科部長、島根大学臨床教授)/藍原寛子(ジャーナリスト)/DAYS JAPAN/ 放射能からこどもを守ろう関東ネット/守田敏也(フリーライター)/猫塚義夫(医師)

賛同団体:DAYS被災児童支援募金/関東子ども健康調査支援基金/沖縄・球美の里/チェルノブイリ子ども基金/未来の福島こども基金/市民自治を創る会/食政策センター・ビジョン21/浜岡原発の広域避難を考える静岡県東部実行委員会/子供の未来を考える会ハチドリ(栃木県)/とちの実保養応援団(栃木県)/市民グループ(団愛)/ベクレルフリー北海道(代表:マシオン恵美香)/道民視察団(代表:太田規之)/能登原発防災研究会/神奈川・子どもを守りたい/Make Our Way/本牧シニアITクラブ/NPO法人福島の子ども/NPO法人福島の子どもたちを守る会・北海道/原発とめよう飯能/ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン/フクシマを思う実行委員会/島根原発増設反対運動/静岡市 『虹っ子』/グリーン市民ネットワーク高知(共同代表 外京ゆり)/さよなら玄海原発の会・久留米/福島原発事故避難者支援・茨城の会/福島応援プロジェクト茨城/~美しい地球を子どもたちに~『地球村』高知(代表上野伊佐子)/「脱原発の日実行委員会」/脱原発をめざす女たちの会北海道/原子力いいんかい?@伊東/市民自治を創る会(代表:山口たか)/食政策センター・ビジョン21/(株)アウレオ/(株)シャア・ワールド/自然と健康を守る会/(株)ビッグストリート/NAU日本アーティスト有識者会議/つなごう命の会/測る会/春を呼ぶ会/浜岡原発の広域避難を考える静岡県東部実行委員会/神奈川・子どもを守りたい/Make Our Way/本牧シニアITクラブ/島原発事故避難者支援・茨城の会/福島応援プロジェクト茨城

賛同人:雨宮処凛(作家・活動家)/新谷英治(関西大学教授)/西尾正道(北海道がんセンター名誉院長)/永田文夫(三陸の海を放射能から守る岩手の会)/西岡政子(横浜市)/山口たか(北海道)/川崎陽子(環境ジャーナリスト)/日高祐三/安田節子/青木幸雄(宮崎市)/和田央子/望月牛女子(東京)/淡川典子/野々垣真美 /永池美保、永池直孝、永池友輝(鹿児島県出水市)/下陳保、下陳京子/水谷/中里見博(大阪電気通信大学教員)/奈良本英佑/三田村道子(群馬県前橋市)/小船 晶子(埼玉県)/内田智(宮崎県)、古村一雄(青森市)/川野安紀子(飯能市)/橋本あき(福島県郡山市田村町)/安藤節子/星川まり/鎌内啓子/青木晴男(「グリーン市民ネットワーク高知」会員)/芦原康江/谷俊夫(熊谷市)/堤静雄/佐藤大介/小笠原学/永田文夫(三陸の海・岩手の会世話人)/田中一郎(ちょぼちょぼ市民連合)/吾郷健二/くまがいマキ(映画配給)/生方卓(現代史研究会)/大信田尚一郎 (三陸の海を放射能から守る岩手の会)/佐原若子 (青森県医師)/西岡政子/三澤篤子/青木幸雄(宮崎市)/小林 和彦(海外事業コンサルタント&コーディネイト)/西川裕紀(明石市)/小林和彦(東京都)/佐藤春代(東京都)/石井紀子(東京都)/橋本羽姫子(東京都)/阿部道男(東京都)/猿渡正哉/七里眞利子(東京都)/青木静子(神奈川県)/遠藤純一(東京都)/黒部麻子(岡山県)/小川晶子(東京都)/井澤俊子(東京都)/伊藤かつみ(東京都)/曽利貴治(東京都)/副島一義(東京都)/上岡義晴(東京都)/山縣有斗 /岩崎義之(神奈川県)/よしざわけんご(埼玉県)/高塚たか子(東京都)/福嶋揚(東京都)/野口弘美(東京都)/豊川玉恵(埼玉県)/内野一美(埼玉県)/日高祐三/長滝谷勉(東京都)/池慶子(東京都)/川島彰(東京都)/抜井景子(埼玉県)/藤木友美(東京都)/上出聖子(東京都)/鈴木昇(東京都)/上岡安里(東京都)/安達佳織(千葉県)/新永悠人(神奈川県)/石川博史(埼玉県)/背戸柳勝也(神奈川県)/糸永眞吾(東京都)/村地春子(東京都)/臼田典子(東京都)/本橋百合枝(東京都)/神元幸津江(埼玉県)/加藤健(茨城県)/小西辰男(東京都)/松木弥栄子(東京都)/和田久美(東京都)/岡村富士雄(埼玉県)/原田敏朗(東京都)/山本俊彦(神奈川県)/佐藤崇(東京都)/若木京子(東京都)/添田早俊(東京都)/鎌田裕子(東京都)/宮脇正和(東京都)/吉田広幸(東京都)/田中ゆかり(栃木県)/可児圭子(東京都)/堀川禎一(神奈川県)/押川賢次郎(東京都)/新川今日子(神奈川県)/荒井潔(神奈川県)/倉橋睦子(東京都)/奥山彰彦/平佳実/大治朋子(神奈川県)/柳ヶ瀬直人(東京都)/原田千絵(東京都)/田ノ岡ゆう子(東京都)/水野晶子(東京都)/前田多賀子(神奈川県)/森田秋彦(東京都)/外京ゆり(高知県)/牧野健一(東京都)/坂井陽子(東京都)/若松伸明(東京都)/上田京子(東京都)/粟生美代子(千葉県)/宮下ミツ子(神奈川県)/秋谷幸枝(神奈川県)/清田曜一(神奈川県)/今富知子(東京都)/島田和代(神奈川県)/江間繁博(東京都)/上木光博(神奈川県)/田牧文代(東京都)/藤田史郎(千葉県)/宮本博美(神奈川県)/寺島容一郎(東京都)/有保優子(埼玉県)/福嶋裕子(東京都)/高階豊(東京都)/村田範浩(埼玉県)/小林明子(東京都)/坂本芳文(神奈川県)/伊原忠(千葉県)/原田寿賀子(徳島県)/巻山美和子(神奈川県)/志村美貴(東京都)/川上直子(神奈川県)/深澤裕(東京都)/三須智美/笹川恵美子(東京都)/小池純子(東京都)/赤坂三好(東京都)/岩越さかえ(東京都)/佐藤慎一(東京都)/矢島浩志(東京都)/奈良洋子(東京都)/天野健一(神奈川県)/山本智子(神奈川県)/中村信子(神奈川県)/松田真吾(東京都)/兜森敏(東京都)/野瀬貴子/成舞隆(東京都)/高木裕子(東京都)/高木正平(東京都)/堀池直樹(神奈川県)/石崎卓(千葉県)/井澤武二(神奈川)/野呂新太郎(東京都)/山岸素子(神奈川県)/太田よう子(東京都)/重松澪子(東京都)/福島睦子(東京都)/黒柳進(埼玉県)/原禮子(東京都)/島崎英治(東京都)/横山和歌子(東京都)/横山大輔(東京都)/和田喜彦(東京都)/佐藤江都子(神奈川県)/阿部勝(埼玉県)/宇佐美清子(神奈川県)/内野佳子(東京都)/倉上良子(東京都)/塚原温代(東京都)/村田成康(東京都)/松村芳陽(神奈川県)/三宅征子(東京都)/横山淳(東京都)/鈴木光子(静岡県)/福澤清和(神奈川県)/大西和美(東京都)/大森迪子(東京都)/さとうひとみ/小島靖(東京都)/高橋春恵(埼玉県)/高橋尚子(埼玉県)/野口恵子(東京都)/為我井奈穂/小形牧子(東京都)/熊谷野絵(東京都)/福井曠ニ(神奈川県)/吉田利敦(神奈川県)/岡田良子(東京都)/有村美保(埼玉県)/酒井空(東京都)/牧野弥生(東京都)/紅林進(東京都)/牧野みのり(東京都)/藤島康弘(東京都)/西野誠(東京都)/島田真徳(神奈川県)/野々山陽子/石川嗣郎(東京都)/内山珠紀(東京都)/石川桂子(静岡県)/福田綾子 /高橋長英(俳優)/山田郁子(神奈川県)/吉田雅春(神奈川県)/下川路雄二/藤森黎子(東京都)/天野真柄(東京都)/戸田靖美(東京都)/時田正義(神奈川県)/塩坪三枝子(神奈川県)/中島明日美/松信肇(東京都)/田村幸生(群馬県)/前川健(三重県)/川瀬朋子/増田千代子、前川仁城他、安武よしこ、池浦勝芳(ボイス・オブ・ヒロシマ)/後藤由美子(「子ども脱被ばく裁判」を支える会・西日本)/他

 

この要望書は、2017年5月12日現在、下記の所に送っています。
内閣総理大臣
内閣府政策統括官(防災担当)
内閣府官房審議官(原子力防災担当)
文部科学省
復興庁 本庁
環境省
環境省水・大気環境局 放射性物質汚染対策担当
環境省総合環境政策局放射線健康管理担当参事官室
原子力規制委員会
厚生労働省
福島県知事
福島県 保健福祉部 地域医療課
福島県立医科大学 総務課
福島県庁 県民健康調査課 
福島県庁 危機管理部
福島県復興局 
北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力