エチオピア マラソンランナーの町ベコジ
撮影者:フランチェスコ・アレジ(PARALLELOZERO)
アスカレ・タファ(29歳)はベコジ出身のマラソンランナーだ。世界のマラソン大会で優勝している。彼女の夫アディス・アババもベコジ出身のもマラソンランナーだ。マラソンで得たお金で、二人は故郷にホテルとレストランをオープンさせた。ベコジは首都アジスアベバの南250キロ、標高2800メートルのところにある人口約1万6000の小さな村だ。
彼らは長距離走者だが、練習ではスピートランニングのメニューもこなす。
5000メートル走者のレンコ・テスファレ。練習の後、友人の理髪店で夜まで働く。賃金は1日20ブル(0.8ユーロ)。
若いランナーの部屋には、たいてい他のランナーや、キリスト教の絵や写真が貼ってある。
ベコジで走ることはとても日常的なことだ。アスリートでなくても、この村には車がないので、別の場所に移動するときはいつも走る。家畜を連れながら走ることもあれば、ただの楽しみで走ることもある。
ベコジのアスレチックセンターの女子寮に、ティルネシュ・ディババのポスターが貼ってある。彼女は5000メートルの世界記録保持者で、オリンピックと世界陸上競技選手権大会で8つの金メダルを獲得した。彼女もベコジ出身だ。
男の子たちが手作りのハードルを跳んでいる。
ランニングシューズはこの町では、命綱のように重要なものだ。ランナーたちはシューズが擦り切れると、自分たちで修繕しながら使う。新しいシューズは買うお金はほとんどの場合、持っていない。新しいシューズを買うときは、長期の投資をする覚悟だ。
早朝のベコジの森。毎週水曜日は2時間のエクササイズがある。森の中で見つけたものはなんでも、トレーニングの道具になる。
トレーニングを終え、自宅への帰り道、ランナーたちが小川で自分のシューズを洗っている。ほとんどのランナーたちは1足しかシューズを持っておらず、トレーニング以外の時も日常的に履いている。
センタイェフ・エシェツはベコジのだれもが、”コーチ”と呼んでいる人だ。彼はこの町の競技連盟のフィールドの一角で、トレーニングプログラムを実施している。高校で体操教師をしていた時、有名ランナーたちを発掘し、育て上げた。なかでもケネニサ・ベケレ、ティルネシュ・ディババ、デラルツ・ツルなどはオリンピックで何度も優勝したり、世界記録保持者となった。
毎日のトレーニングを終え、自宅への帰り道、森と村の間を流れる小川で遊ぶランナーたち。
モスクワで開催されている世界陸上競技選手権大会をテレビで見るためにたくさんの人が集まっている。ベコジ出身のランナーが出場すると、人々の目が輝く。
冷たい雨が降るなかでも、寒い冬でも、ベコジのランナーたちは、トレーニングを休まない。ベコジは、標高2800メートルのところにあり、高度で空気が薄いため、血液はより多くのヘモグロビンを生産する。ベコジのランナーたちは自然と高所トレーニングをしていることになる。
毎朝6時、ベコジの森にランナーたちが、トレーニングのために集まる。