汚染された都市カラバシュ
撮影者:ピエルパオロ・ミッティカ(Freelance)
ロシアのカラバシュは地球上でもっとも汚染された地域だ。100年以上前に建てられた銅精錬工場が地域内にあり、排出する有害物質が深刻な公害を引き起こし、住人に健康被害をもたらしている。
銅精錬工場からの有害な排出液が川に流れ込んでいる。排出液に含まれる有害物質が地表を焼き、あたりは生き地獄のようだ。
オレンジ色の池は、銅鍛錬工場から長年にわたり排出液が垂れ流された結果である。自然の復讐だ。
カラバシュの住人タチアナは、銅精錬工場が操業中は呼吸が困難になると話していた。
カラバシュの町で一人の男性がポツンとバスを待っている。以前、この町の住人は2万4千人を数えたが、今では1万6千人ほど。環境のなかの有害物質の濃度が高すぎるため、町の半分は人が住んでいない。
銅精錬工場から流れ出た、オレンジ色の排出液が泡立っている。
銅精錬工場からの排出液が流れこんでいるサク・エルガ川。有毒な排出液のせいでオレンジ色に変わってしまった。付近の森も、大地も、川もオレンジ色をしているが、それらには通常の500倍以上の濃度の鉄分が含まれているという。
銅精錬工場の風下にあるこの地域では、数年前に住民が全員、避難してしまった。今は朽ち果てるに任された映画館。
空き家で遊ぶ子供たち。1994年に発表されたチェリアビンスク州研究所の公衆衛生と環境に関する報告によれば、カラバシュの子供たちは他の地域の子供たちと比べて明らかに小柄で、出生異常率は3.5倍、皮膚病の罹患率は2.7倍だった。
勤め先の銅精錬工場から、自宅に帰る女性。1990年、工場は当局から「生態学的大災害」を宣言され、一度は閉鎖された。しかし、全住民が工場に勤めていたため、全住民が失職。その後、仕事を求める住民の強い要望により、安全・環境面に関する調査のないまま工場は再開された。
黒いクズ山と呼ばれる、カラバッシュの町を囲む、高さ15メートル、長さ2キロメートルの巨大な堆積物。産業廃棄物や重金属の破片からなり、住民の健康には危険きわまりない。
森林地帯のこの一角は、有毒な化学物質によって焼けただれたようになっている。
赤い水をたたえた池と、赤くただれた山々は、二酸化物質によって焼けただれたようになっている。
1910年に銅精錬工場が操業を開始してから、年間、180トン以上の二酸化硫黄と、金属微粒子が放出された。
黒いクズ山の山肌。自然の復讐だ。