JM・ロペス
●フォトグラファー
「シリア 戦闘後のコバニ」(5月号に掲載)で、
本年度のDAYS国際フォトジャーナリズム大賞3位を受賞したJM・ロペス。
現在も、ISとの戦闘が続くイラク・モスルを中心に精力的に取材を続ける。
そんな彼の、タフな状況で使用する機材へのこだわりとは?
文/JM.・ロペス
身軽な装備で縦横無尽
写真家として仕事を始めて以来、さまざまな機材を使ってきたが、
フィルムで撮影していたころはもっぱらライカM6。
小型で軽く実用的で、持ち歩いていても気づかれないのがいい。
それがデジタル時代になると、ライカのカメラが高価なものとなったので、
キヤノンを買ってみた。これまで数台のキヤノンを愛用し、
キヤノンのダイアルの配置や機能は熟知している。
今はEOS6D。とても性能がいいし、価格もリーズナブル、
さらにコンパクトで軽い。ビデオ撮影も可能で、高感度なのがうれしい。
以前はレンズを変えなくて済むように2台のカメラを持っていたが、
今は1台にしぼった。ともかく荷物は軽いのが一番。
同様の理由で望遠やズームレンズは使わない。
状況によってこれらは便利だが、重さを考えると引いてしまう。
それに私は人々をすぐ近くで撮るのが好きなのだ。
Photo by Diego IBARRA SÁNCHEZ
レンズに関して言えば、単焦点で明るいのがいい。
フラッシュは使わない。かつては多焦点の24ミリ~35ミリ、
F1・4を主に使っていたが、現在もっとも使うのは単焦点の35ミリだ。
どんな状況にも対応できるし、ポートレートでも活動的な写真でも問題なし。
適切な距離を見つけるまで、自分で動き回ることができるのも気に入っている。
あと50ミリのF1・4も持っているが、こちらはF1・2よりも
軽くてかさばらないのが大きな利点だ。
2013年3月16日 Photo by Manu BRABO
スペアのバッテリーや充電器、数枚のメモリーカードも必要だし、
クリーニング用のブラシ、レンズやボディを拭く革の布、
レンズの埃を払うブロワー、さらにはセンサーを掃除するロッド(棒)
も必需品だ。私の仕事場ときたら、埃や泥がつきものだ。
それにノートとペン、さらにパスポートとプレスカードも忘れてはならない。
カメラから写真をダウンロードし、編集してから取引先のエージェント
などに送るときは、ノート型PCのマック・ブック・プロを使っている。
PCにはフォトショップや、フォトメカニック、ファイナルカットなどのソフトも
インストールしてある。それから写真をコピーして保存する外付けハードディスク
も必携だ。
これらの道具はみなドンケのカメラバッグF2に詰め込む。
とっても頑丈だし、大きすぎない。ひとたび現地に立てば、
あとはカメラを肩にかけ、撮影スタート!
(構成・翻訳/野口みどり)
JM・ロペス
フリーランス・フォトグラファー。1971年、スペイン・レオン生まれ。
アートスクールで写真を勉強後、2009年までの11年間、
地元紙ラ・クロニカ・デ・レオンで、スタッフ・フォトグラファーを務める。
フリーになってからは、アフガニスタン、イラク、パレスチナ、イラン、コソボ、
ハイチ、ウクライナ等を取材。ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、
ル・モンド、エル・パイス等掲載多数。「シリア 戦闘後のコバニ」で、
DAYS国際フォトジャーナリズム大賞2017年3位受賞。